性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
”いつ見ても違う人と一緒にいた”って
そんなに、とっかえひっかえ
いろんな人と付き合ってきたって事…?
「代わる代わる付き合えて
あんなに女性に困らない人生
羨ましいくらいだよ」
廊下の窓から遠目で外を眺める氷彗。
あきらかに嫌味だな。
絶対バカにしてるでしょ。
心にもない事を呟いているもん。
結局、壱琉はスマホを取りには戻らず
いつも通りの時間に帰宅。
疑惑が残ったままだったけど
聞いても答えてくれないのはわかりきっているため
その日は何も見なかった事にした。
この女性の出現が
とんでもない事件に巻き込まれる大きなキッカケになるなんて
誰が想像していただろうか―――――
*****
2日後の夜8:00頃
玄関のインターホンの上品なメロディーが鳴り響き『この時間に誰だろう』と扉を開けた。
「あ、こんばんはです」
ニコリと笑顔で会釈するその来客は
フワッとした雰囲気の若い女性。
綺麗に巻かれた茶髪をサイドテールにシュシュで留め、薄いピンクのアイシャドウが施されたメイクと真っ白なフレアワンピースを着ている。
いかにも”体が弱そう”みたいなお姫様タイプだ。
「壱琉の家はこちらで間違いないですか?」
「え、えぇ…そうですが
まだ帰ってきていませんくて…」
お上品すぎる態度に
ワケのわからない上品敬語になってしまう。