性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

慣れてないのよ、こういう話し方。

「そうですか…それは残念です」

悲しげな表情をする彼女に
『良かったら中へ…』と言うべき…?
この可愛い人が誰だかもわからないのに?

「あの…ちなみに貴女は…」

せめて名前くらい聞いておこうと声を掛けると
それに答えるかのように彼女の背後から別の声が…

「華恋!?」

呼ばれた彼女も、そして私自身も驚き
ほぼ同時に声のする方へと顔を向けた。

あれ?このパターン…
前にも同じような事があった気が・・・・
そしてこの名前にも聞き覚えがある気が・・・・

「壱琉ッ!」

ワッと走り出す彼女。
私の存在などお構いなしに
壱琉の胸に飛び込んでいくではないか。
そして意外にも壱琉は《《まんざら》》でもないらしく、拒む様子がない。

な、なんなの?この2人は・・・・

「急にどうしたんだ?
 俺んちに来るなんて珍しいじゃん」

「仕事でこっち来ていてね。
 会社の前で壱琉を見掛けたから
 久しぶりに会いたくなったの」

私の存在など更に無視して
玄関先で2人だけの時間になっているようだから
私は気まずさしかなくて扉を閉めた。
邪魔している感があって居づらい。

それなのに壱琉は
また驚くような行動に移す。

「何もないけど入れよ」

「お邪魔しまーす」

事もあろうに
その彼女を家の中へと迎え入れたのだ。









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