性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
それも飛びっきりな“小悪魔の微笑”を。
「それと…
今日私がここに来た事は
壱琉にはヒ・ミ・ツ♡にしてくださいねッ」
唇に人差し指を当て
『しーっ』と可愛くウインクまでする仕草は
男なら一発で《《ズキューン》》だろう。
心臓を撃ち抜く乙女の必殺技だ。
「は、はあ…」
ま。喜んでぜひそうさせてもらいますけどね。
余計な揉め事に巻き込まれるのはイヤなんで。
「じゃぁ、《《またお邪魔》》させてもらいますね」
玄関を出る最後までニッコリ笑顔で去っていったが…また来るのかと、こっちは溜め息。
それに“お邪魔する”って
どっちの意味?
「ああぁぁぁぁ〜
もう無理ぃぃぃぃ」
ドサっとソファに深々と腰掛けて全体重を預けると、ガクンと背もたれに凭れ掛かって天井のファンを見つめボーッとすると、さっきまでここにいた彼女の事が頭に浮かぶ。
あのコ…本当に何しに来たんだろ。
それも壱琉どころか氷彗もいない日に来るなんて
もしかして計算?
あの様子じゃ
別れた今でもアイツを愛して止まないみたいだし
壱琉自身がそれをわかっていて仮に今でも好きだったとしたら…
両想い。ちょうどいいじゃん。
そうなれば私への無駄な疑いの目と監視が薄れるはず。
「男と住むって
色んな意味で大変だ」
私は
なんて安易な考えなのだろう―――――