性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
 
「華恋さん…」

「こんにちはです」

玄関を開けると
そこに立っていたのはニコニコした、彼女。
つい数日前に来たばかりなのに
今度は何用だろうか…

「華恋…?」

「壱琉ッ!」

廊下の奥から顔を出した壱琉に
急に彼女の声がワントーンアップ。
ついでに表情もパーッと明るくなった。
すごい変貌ぶり。

「今日はどうしたんだ?」

ごく自然にドアを開け放し
何の躊躇いもなく彼女を室内へと招き入れる壱琉は、余程彼女に心を許しているみたい。

「ちょっと困っている事があって…
 それで壱琉に相談したいなって…」

ハッキリ言わず遠回しに複雑な表情だけするから、壱琉も真剣な目をする。

そんな彼を離れた位置から見ていた私は
なぜだか少し心配だったんだ。
嫌な胸騒ぎがするから…。

リビングに移動した壱琉と華恋さんは
向かい合わせに座り、暫し沈黙になる。
どことなく重たい空気が漂っているのは
私にも伝わってくる。
とりあえず前回同様に珈琲の準備を始め
それぞれに出すと、華恋さんが話を切り出した。

「実は私…
 1人の男の人から迷惑行為をされていて…」

「迷惑行為…?」

「うん…
 私の事を好きって思ってくれているみたいで
 何度か告白されたんだけど断ってて…
 それなのにしつこく付き纏うの」

どうやら
ストーカー案件らしいが…
< 132 / 161 >

この作品をシェア

pagetop