性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

やっぱりこれって
あえて《《壱琉に》》持ちかけた話。
目的が何かはわかんないけど
何か企んでいるのは間違いないと思う。

「それでね?相談って言うのは…
 壱琉にお願いがあって…」

「お願い…?」

「うん…
 実は…」

言いにくいのか勿体ぶっているのか
チラチラと壱琉に視線を送りながら
溜めるに溜めて躊躇う様子を見せている。

これはとんでもない隠し玉を秘めているのかも。

そんな私の勘は冴えていたようで―――

「私の彼氏の《《フリ》》をして欲しいのッ!」

パッと顔を上げ
勢いをつけたように声を発した。

これには私達2人は愕然。

ありえない。
彼氏のフリって…
このコは何て無謀な提案を持ち出した?

「いろいろ考えたんだよ!?
 だけど警察に相談するのも怖いし不安だし…
 そんな事をしている間にもまた何かしてくるかもって思ったら、1人でいるのが怖くて…
 でも、彼氏がいるってわかれば
 きっと諦めてくれると思うのッ!」

拒否される前に言いくるめたいと考えたのか
壱琉が返事をする前に
更に切羽詰まっているような追い打ちを掛けてくる。

”思う”だけで何1つとしての根拠もないのに
壱琉への信頼は絶対なのか。

「お願い…壱琉…
 私が相談出来るのは、あなたしかいないのッ」

また手で顔を覆いながらも
時折、涙を見せる。


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