性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

こうなれば女の涙に弱い男なら誰でもイチコロ。
『可愛い子が自分を頼って来てくれて
 涙まで流して哀願してくれる』
こんなシチュエーション
美味しくないはずがない。

そして壱琉もまた、その1人。

「…わかった。
 フリをすればいいんだな?」

最後は泣き落としで決められたってわけだ。

「本当に!?
 協力してくれるの!?」

さっきまで泣いていたのが嘘のように
急に明るさを取り戻した彼女。

最初からそのつもりだったのに
演技派女優なの?

「私に考えがあるの!」

”そうと決まれば”みたいに
さっそく作戦会議を始める姿にはドン引きだ。
すごい切り返しの早さよ。

呆れ返った私は
このイチャイチャな2人の会話を聞いているのがバカバカしくなり、声を掛ける事なく部屋へと立ち去った。

女の最大の武器である涙にコロッとヤられた壱琉にはビックリ。
あんな性悪男が素直に頼み事を聞くなんて
相手があの彼女だから?
好きな人だから弱いって?

「本当にどういう関係なんだろ…」

悔しいけど
なぜか気になってしまう。
どうしてなのかわかんないけど……――――


*****


それから1時間くらい経ち時計は16時をまわっていて
そろそろ夕飯の準備でもしようかなと
またリビングに戻った私だけど…
ソファで横になっている壱琉を見つけた。
< 139 / 161 >

この作品をシェア

pagetop