性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
こうなれば女の涙に弱い男なら誰でもイチコロ。
『可愛い子が自分を頼って来てくれて
涙まで流して哀願してくれる』
こんなシチュエーション
美味しくないはずがない。
そして壱琉もまた、その1人。
「…わかった。
フリをすればいいんだな?」
最後は泣き落としで決められたってわけだ。
「本当に!?
協力してくれるの!?」
さっきまで泣いていたのが嘘のように
急に明るさを取り戻した彼女。
最初からそのつもりだったのに
演技派女優なの?
「私に考えがあるの!」
”そうと決まれば”みたいに
さっそく作戦会議を始める姿にはドン引きだ。
すごい切り返しの早さよ。
呆れ返った私は
このイチャイチャな2人の会話を聞いているのがバカバカしくなり、声を掛ける事なく部屋へと立ち去った。
女の最大の武器である涙にコロッとヤられた壱琉にはビックリ。
あんな性悪男が素直に頼み事を聞くなんて
相手があの彼女だから?
好きな人だから弱いって?
「本当にどういう関係なんだろ…」
悔しいけど
なぜか気になってしまう。
どうしてなのかわかんないけど……――――
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それから1時間くらい経ち時計は16時をまわっていて
そろそろ夕飯の準備でもしようかなと
またリビングに戻った私だけど…
ソファで横になっている壱琉を見つけた。