性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
玄関先で2人
重たい空気を漂わせながら沈黙―――
こんな状況にしたのは私のせい?
…だとしてもよ。
道を訊ねた初対面の赤の他人を
普通、家に入れようとする?
拉致するつもりなんじゃ…
頭の中は不信感でいっぱいなのに
彼からの言葉で更に追い打ちを掛けられた。
「キミ、蓮見詩菜さんじゃないの?」
「えッ!?」
なぜ私の名を知っているんだ!?
調べられた?
まさか月影さんとグルになって監禁・誘拐なんじゃ…
「こ、殺される…」
「は?」
思わず出てしまった本音に
この男からは『この女、頭がおかしいんじゃないのか?』と
言いたそうに目で訴えてくる。
「私はただ、住むところを探していただけなのに…」
愕然とするあまり
遠くの一点を見つめたまま
フリーズしてしまう。
「何言ってんの?
アイツから何も聞いていないわけ?」
めんどくさそうに言う彼の言葉に
ようやく少し現実に戻ってこれた。
「…アイツ?」
…とは?
何の事を言っているのかわからない私は
首を傾げて『さぁ?』としか言えない。
「その様子だと
何も聞いてなさそうだね」
『はぁ…』と小さく溜め息を吐いたかと思えば
突然に、彼は箇条書き風に喋り出した。
「キミが探している家はここ。
持ち主は月影壱琉。
キミは今日からこの家の人間。
管理人、俺らと住む。以上」