性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

腕で顔を隠すようにして動かないところを見ると
もしかして寝てる…?
そしてどうやら華恋さんも帰ったらしく
その姿はどこにもない。

「なんでこんなところで寝てるんだか。
 彼女が帰って寂しくなってたりして」

独り言のつもりで声に出しながら
本人をスルーしてキッチンへと行こうとしたのに…

「んなワケあるか、ばーか」

起きていたらしく
顔から腕を退けてこちらをジロリと睨んできた。

「なんだ、起きてたんだ」

「お前のウルセー声で目ぇ覚めたんだ」

面倒そうに気怠い体を起こすと
ソファの真ん中にドカッと座り直した。
悪かったわね、ウルセー独り言で。

「ねぇ…さっきの彼女の話
 本当に”フリ”なんてするつもりなの?」

「だから何だ。
 アンタには関係ねーだろ」

あいかわらず同じ返答ばっか。
それ以外なんて聞いた事がない。

「仮に彼女の話が本当だとしたら
 彼氏のフリをして説得なんて上手くいくとは到底思えない。
 警察に任せるなりしないと
 アンタが危ない目に遭うかもしれないんだよ?」

私にしては珍しく壱琉に説得してみるが
当の本人はどこ吹く風。
聞く耳なんて持つはずなかった。

「《《仮に》》とは随分だな。
 華恋が嘘を言ってると思ってんのか?」

「そういうわけじゃ…」

「じゃぁ口を出すな」

あくまで彼女の肩を持っている。




 


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