性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

なッ…!?

「何言ってんのよ!
 冗談じゃないッ!誰がアンタなんかッ!」

好きじゃないって否定しながら顔を背けたけれど
心臓はバクバク。

私ってば今まで1度だって考えた事なかったのに
何急に意識しちゃってんのさ。

「その様子だと
 俺を”男”として意識している事はマジみてーだな。
 体は素直なんじゃね?」

不敵な笑みを浮かべたまま
空いている左手を今度は私の腰に手をまわした。

「ちょッ、やめてッ」

「イヤなら本気で拒んでみろ」

腰に回した手は更に力を込めて
耳元で甘ったるく囁く壱琉は
いつもと違って無駄に男らしくて
無駄に色気ばかり。

”こんなヤツに流される”
頭に過る悪い予感に焦る気持ちと
胸元を手で押してもビクともしない力強さ。

極めつけは
唇に近付いてくるコイツの顔に思考がまわらなくなってくる。

こんなところ、氷彗に見られたら――――




…バタン ――


「え…」

後ろからドアが閉じる音が耳に入った。
壱琉にホールドされていて振り返る事が出来ないが
確かに聞こえたその音に
私はゴクリと息を呑んだ。

壱琉は《《そこ》》にいる人物に顔を向けて言い放つ。

「よう、氷彗。
 今いいところだから」

彼の声に血の気が引く。
やっぱりそこにいるのは氷彗…



「…何してんのさ」

怒気の籠った低く冷たいが聞こえてくる。



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