性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
突きつけられた究極の選択。
ここに残るか
氷彗と出るか…
あれ。私1人で出て行く選択肢はない?
氷彗と一緒なのがマスト条件?
「返事は今すぐじゃなくていいよ。
よく考えてみて」
『待ってるから』と凛々しく言って
部屋へと戻っていってしまったけれど
どっちにするって…
どうすればいいのさ。
私はもともと住む家を失って壱琉に拾われ
ここで住み込みバイトみたいに働いている身。
だから、ここを出て行く=契約を解除=無職
って・・・そうなるかもしれないってこと…?
“家を出る”なんて考えてもみなかったのに。
それにもう1つ。
氷彗が言っていた言葉が引っ掛かっている。
「壱琉にとって華恋さんは
忘れられないくらい愛した元カノ…」
何度も脳内をリピートするフレーズ。
それが嘘か大袈裟か、それとも事実なのか…
胸に手を当てて考えてしまう。
胸に痞えるこの気持ちって、何?
どうしてこんなにザワザワするんだろ。
まさか…アイツが言ってたみたいに
私、壱琉のことを…?
「ないない。
それだけは絶対ない。
ありえない、あんな性格悪い男」
念仏を唱えるように
何度も口に出しては気持ちを否定させ
『もう2人の事は考えない』と
この件に関わる事をやめる決意をした。
氷彗への返事だって困っているのに
一喜一憂されるなんて、らしくない。