性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
壱琉の話を聞いている限り
華恋さんを狙っている危ない悪い男の存在は本当のよう。
でもだからって何かアクションを示してはこないらしい。
もしかしたら《《彼氏》》が一緒にいるから何もしてこないのかもしれないが
『これだと平行線のまま何もわからないな』と
壱琉自身はお手上げの様子で困ったように頭を掻いている。
黙って聞いていた氷彗だったが
彼が本当に聞きたかったことはそんな話じゃなかった。
ハッキリさせたかったのは別のこと。
「ねぇ、壱琉。
あの彼女のところに行くの?」
「そうだな。
もう少し様子を――――」
「そうじゃなくて。
このままずっと彼女の元にいるのかって聞いてる」
真剣な目つきで言葉を遮ってまで発したこの一言がキッカケに、壱琉は氷彗の思惑を察し『どういう意味だ』と睨みを利かせ、離れた位置から様子を見ている私ですら2人の雲行きが怪しくなっていくのは感じる。
「壱琉が元カノ相手に《《フリ》》までして心配しているのは、まだ彼女の事が好きだからなんじゃない?だから放っておけないんでしょ?」
「は?てめぇ何言ってんだ」
氷彗の踏み込んだ質問にキレたのか
壱琉は手にしていたマグカップを
”ガンっ”と音が出るほど強く打ち付けるようにテーブルに置き、あからさまに不機嫌を露わにした。