性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
い、意外とわかりやすい説明…
って、そうじゃない。
そんな呑気な事を言ってる場合ではなかった。
ハッと我に返った私は
開きっぱなしだった目の渇きを瞬きで潤してから
この男に言い返す。
「新居を紹介してくれたけど
誰かと住むなんて一言も聞いてない!
これは何かの間違いよ。
絶対騙されたんだッ!」
電話を掛けてどういう事か説明してもらおうとスマホをポケットから取り出したが、やり取りは全て管理会社経由だったから、月影って男の携帯番号を知らない事に気が付いた。
そんな私の様子を
涼しい顔で見ていた彼から…
「アイツと連絡取りたいなら
待っていれば帰ってくるよ」
またも衝撃的な言葉を投げ掛けられた。
「帰ってくる…?」
この男は今
確かにそう言ったよね。
スマホから目を離し
恐る恐る彼の顔を見てみたけれど
嘘を言っているような雰囲気は見受けられない。
いや、実際は無表情すぎてわからないだけなんだけども。
「本当に…?」
「この家はアイツのなんだから当たり前でしょ」
どうやら聞き間違いではなさそう。
と言う事はだ。
つまりこの家には
月影さんとこの人が住んでいるって事になる。
誰が好き好んで男と同居しないといけないんだ?
冗談じゃない。
「申し訳ないですが
考え直します」
引き返す事を今決めた。