性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
「あー…マジで女の扱いがわかんねぇ」
頭をガシガシしながら『どうすんだよ』と困惑しているこの人に、こっちも困る。
「こんな雨で暗い中
女を独りにさせるわけにはいかねぇし
行き倒れでもなったらこっちが迷惑だから車に乗れ」
そう言って1度キャリーバッグを地面に降ろすと
その手で今度は私の腕を掴み、一瞬驚いた表情を浮かべた。
「だいぶ冷えてるな…
そんなにずぶ濡れで進む気か?
このままだと駅に着く前に倒れるぞ」
「そんなの…」
『大丈夫』と否定したかったけど
確かに彼の言うように体はさっきよりも冷えて寒い。
早々簡単に風邪を引くほど体は弱くはないけど
こんな格好で公衆の前に出るのもどうかと思う。
「決まりだ」
「え…ッ!?」
掴まれた腕を軽く引っ張られながら
車の助手席のドアを開け
ほぼ強制的に押し込まれてしまった。
これって誘拐でしょ!
彼は後ろのドアを開けてキャリーバッグを足元に置くと
最後に本人が運転席に乗り込んだ。
「ちょッ――」
「シートベルト」
言い返す間も与えず指示されてしまい
更には出発してしまったのだから言う事を聞くしかなくなる。
車のエアコンが温かく
冷えた体には多少の熱を与えてくれる。