性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
試験官に見られているような緊張感を煽りながら
朝食づくりを続ける事に―――
「まぁ、こんなもんか」
スープも作り
食器に盛り付け食事をテーブルに置くと
何を言うワケもでなく
やっぱり彼はまだこっちを見ている。
「良かったら、どうぞ」
「え…」
「味見って事で、さ」
拒否される事を前提に彼の分も用意し
私はさっきまで自分が座っていた席に腰掛け
『いただきます』と挨拶をした。
すると彼もスプーンを手にしながら
小さく『いただきます』と返してくれた。
これだけでも
もしかしたら一歩前進したんじゃない?
「…久しぶりかも、朝ご飯なんて」
「そうなんだ。
どう?食べられます?」
「…美味しい」
「それなら良かった」
彼の反応に、ほんの少し安心した。
口に合った事はもちろんだけど
ただの捻くれ男だけじゃなくて
それなりに感情はあるんだなって思えたから。
「ねぇ、名前は何て呼んだらいい?」
「…別になんでも。
好きに呼びなよ」
「じゃぁ…氷彗。
そう呼ばせてもらおうかな」
「…あっそ」
調子に乗って色々聞いてしまい
何より1番驚かされたのは、年齢だった。
「お、同い年だったんだ…」
同年代くらいとは思っていたけれど
まさかタメだったとは考えもしなかったよ。