性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

悪い予感を感じながら答えると
氷彗はオムレツの最後の一口を平げ
『なるほど…』と現状を呑み込む。

何か良い案でも貰えるのかな、なんて
淡い期待は持つモノじゃない。

「車を所持してないなんて
 ここじゃ致命的だよ」

涼しい顔して
さくっと裏切られる。

「ですよねぇ…あはは」

予想はしていたけど
交通手段を断たれた事の失望感に愛想笑いが出た。

『ちょっとそこまで』のコンビニ感覚が
この家の付近にはない。
だから尚更、思う事は1つ。
不便なのに、なぜこんなところに住んでいるの?

「…ご馳走さま」

「片付けておくね」

そのまま置いておいてくれて良かったけど
綺麗に食べ終わった氷彗は静かに立ち上がり
食器を運んで来てくれる。

そこはちゃんとしているんだ…。

氷彗から食器を受け取ったタイミングで
偶然、月影さんがリビングへとやってきた。

「へぇ、もう仲良くやってんじゃん」

トレーナーにスラックス姿の彼は
電子タバコを吸いながら
私達を見るなり意地悪い顔で冷やかすコイツは
朝から性格が曲がってる。

「うるさい。
 壱琉のおかげで
 こっちは結構迷惑しているんだ。
 説明くらいちゃんとしといて。」

気に障ったのだろう。
氷彗はムスッとした表情へと変わり
不機嫌そうに出て行ってしまった。

あーぁ、怒らせちゃった。
バカなの?この人は。


< 32 / 161 >

この作品をシェア

pagetop