性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
月影さん本人も言い方が悪かったのは自覚しているようで、頭を掻きながら『調子乗りすぎたな』と戸惑っている。
いったい何しに来たんだか。
「そんな目で俺を見るな」
私のジロリと《《圧》》を掛けた眼差しに
言いたい事を察したようだ。
「別に何も。
氷彗の気持ちがわかるなって思っただけです」
「俺が何したって言うんだ」
『まったく』と面倒そうにキッチンに立ち入り
コーヒーメーカーに手を伸ばしながら
ふと目にした私の洗い物に驚いた表情を浮かべて、固まった。
「朝飯…アイツ食ったのか?」
「そうね。
食べないって言ってたけど完食したよ」
「…へぇ、アイツがねぇ」
ボソッと『意外だな』と感心しているところを見ると、この人も知らない一面だったのかもしれない。
「氷彗って
普段からあんまり喋らない感じなの?」
「そうだな。
アンタと違って
静かで大人しくて可愛げがある」
「悪かったわね、私が騒々しくて。」
「わかっているなら結構」
自身で淹れたコーヒーを持って
さっきまで私が座っていた席に腰掛けスマホを弄り始める彼に、馬鹿馬鹿しくてもう何も言い返す気も起きない。
氷彗以上に絡みづらい。
ううん、この人はレベルが違う。
必要以上に絡みたくない。
…しかしそうもいかないのがルームシェア。