性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
『はぁ…』と小さく溜め息を吐き
私はこの性悪男に疑問をぶつける事にした。
「言いたくない事とか知って欲しくない事とか
そういうのは別としてもさぁ…
少しは教えてもらえません?
貴方達2人の事を。
これから一緒に住むんですから。」
質問をしてみたけれど
彼はスマホを弄る手を止めるわけでも
私の声に耳を傾けるわけもない。
言っても無駄か。
私は完全に諦めて
洗い終わった食器を伏せ
濡れた手をタオルで拭くと
月影さんにそれ以上なにも聞く事なく
キッチンをあとにしようとした。
するとーーー
「俺達は幼馴染だ」
なんかいきなり
彼が口を開いた。
「幼馴染?」
ピタリと足を止め聞き返すと
彼もスマホを弄る手を止めて
私に話始める。
「氷彗は、《《いいとこ》》のお坊ちゃん。
金持ち家の人間ってヤツ。
まぁいろいろあって俺が身元引き受け人したってわけ」
「身元引き受けって…
そんな犯罪でもしたみたいな言い方…」
「んなことアイツがするかよ」
『アホか』って呆れられたけど
アンタが誤解を招く言い方したんでしょうが。
紛らわしい言い回しするなって…
言いたいけど今は自分の中に閉まっておく。
「んで、ここは俺と爺さんが住んでいた家。
今はリフォームしたから雰囲気は変わったけどな」
と、天井を見上げて言う。