性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

“一緒に住んでいた”
そのフレーズに意外性を感じた。

男と2人で住んでる事もだし
こんなヤツでも、他人と住むんだなって。
まぁただの私の偏見に過ぎない。

「氷彗は、よく私が住む事も受け入れたね」

「受け入れたっつーか
 誰にも興味を示さねーんだ。
 …自分自身にすらな」

終わった煙草の吸い殻を
テーブルの真ん中に置いてあった灰皿に押しつけ
残りのコーヒーも飲み干すこの人の目からは
なんとなく哀愁が漂う。

氷彗の事を気にしているのは確かだと思う。
その証拠に、彼は考える素振りを見せながら
囁くように声にする。

「アンタが来たおかげで
 アイツの心境が何か変わるかもしれねーな…」

と――――

そんな事を言われても
こっちとしては、まったくわからない。

「いったいどういう意味?」

「アンタは単純そうだから
 良いリハビリになるって事」

「た、単純って…
 リハビリって…」

いちいち腹立つこの人は
私を何だと思っているの。

コイツの攻略なんて絶対ムリな気がする。

「氷彗の相手、精々頑張って。」

フッと鼻で笑ったかと思うと
またスマホを少し弄り
席を立ちあがってリビングから出て行ってしまった。

『精々頑張れ』って
なんだ、その他人事は。
アンタがここに連れてきたんだから
責任持ってなんとかしてほしいものだ。
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