性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

後ろを振り返り
その拍子で巻いていたタオルが落ちそうになった。
『ヤバい』
そう思ってタオルを掴んだのは良いものの
痛む足の事を忘れて床に着いてしまったのだ。

「…ッ痛」

痛みでその場にしゃがみこんでしまうも
色々見えてしまわないように隠す理性と葛藤。

「痛むのか?足」

さすがに違和感に気付いたみたいで
こっちに近付いてこようとしてくる壱琉。

「ま、待ってッ
 それ以上は本っ当ダメなやつだから!
 見えるから!」

この期に及んで抵抗を止めない自分も
女なんだなと再確認してしまうよ。

拒絶をしている間にも
彼は私の傍まで来ていて
上から見下ろしている。

「んなこと言ってる場合かよ。
 歩けねーんだろ?」

そう言ったかと思うと
『ほら。』と手を差し出してくれた。
”掴め”って事…らしい。

「へ?」

ポカーンと口を開けて
意外すぎる優しさに一瞬フリーズしていたが
『早くしろ』と急かされてハッとし
その手を掴んで介助してもらいながら立ち上がった。

すると――――

「え・・・えッッ!?」

あまりに一瞬の出来事に
どう説明していいのかわからないのだけれど…

”抱き抱えられられている”
そう…何かの《《おとぎ話》》のような
お姫様の、《《あの抱っこ》》をされているのだ。

「まままままま待って待って待って!!」

また大騒ぎ。


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