性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

余程触れてほしくない話なのか
ポケットから取り出したハンカチでテカる顔の汗を拭いては、言葉を選んで当たり障りのない言い訳を並べる。

怪しい。
明らかに何かを隠している気がしてならない。

「とにかくなんとかしてください。
 次のアパートだって探さないといけないんですから。」

言うだけ言ったんだから
立ち退き期限までには納得のいく結果を提示してくれるでしょ。

そう信じて、私は持ってきた通知書をクシャっと握りしめなら店の外に出ようと自動ドアも前に立った。

扉が開くちょうど同じタイミングで
入室しようと正面に立っていたのは
紺色のスーツを着た1人の若い男。

年齢は私と差ほど変わらないその人物は
180㎝はあるだろう。
その長身に反射的に顔を上げ彼と目を合わせるも、ジロリと鋭い眼差しで睨まれてしまった。

「邪魔」

『チッ』と舌打ちし
不機嫌極まりない雰囲気がダダ漏れ。


怖ッ。

思わず一歩横に外れ
男を先の中へ通してしまったが
普通は【出る側】が優先なんじゃなかろうか?

ズカズカと我が物顔で店内に入ってくる男を
流し目にこちらもガン飛ばしてから外に出ようとすると。

「お待ちしてました!月影様ッ!」

背後から聞こえた60代の店長から
確かに聞こえた“月影”の名に
私の足がピタっと止まった。


< 6 / 161 >

この作品をシェア

pagetop