性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

「すげぇ眺め」

「え?」

ニヤリと不敵な笑みを浮かべる壱琉。

その言葉と笑みの意味を知ったのは
このすぐ後。

怪我した所を見せるために
タオルの隙間から出した右足。
その先は禁断の区域。
そして同じ目線で座る彼の見ている先は…

「ば、馬鹿ッッ!!!
 見るなってば!!」

激しく動揺した私は
女とは思えない言葉遣いで怒鳴りながら
足を閉じて急いで隠したのだけれど…

散々、見えないようにと守っていた胸元のタオルが、ついに外れてしまいーーーー

「え…」

驚く壱琉の視線は
オープンした私の胸を見事に捉えていた。

「いやぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」

もはや絶叫。

隠したときにはもう遅く
しっかりと見られてしまっている。

この失態は、罪が深い。

「…」

壱琉は何も言わず顔を背け
焦り…なのか
緊張しているのか知らないけれど
唇をキッと噛んで複雑に苦しげな顔をしている。

何…なんなのさ

見られたこっちの方が屈辱なのに
どうしてコイツに
そんな迷惑そうな顔をされないといけないの。

本当、もう最悪…

「…ッ」

私も恥ずかしくて顔を背け
そんな事を考えていると目の奥が熱くなる。
こんなんで泣きそうとか
それでなくても情けないのに。

今すぐこの場から離れたくて
痛む足を庇いながら腰を浮かせて立ち上がろうとした。

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