性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
そういえば
どうしてそんなにその花を大事にしているんだろうか。
“花が似合う男子”って柄じゃないのに。
「大事にしてるんだね」
「『この男に花とか似合わない』とか思ったんだろ」
お、お見通しか。
「これは爺さんが大事にしてる花だから
今は俺が世話してんだよ」
「お爺さん…」
それはつまり
私が以前住んでいたアパートの大家さん。
そしてこの口振りだと
やっぱり元大家さんに何かあったのかもしれない。
だから壱琉が代わりに
この家も植木鉢も守っているんじゃ…
「なに湿っぽい顔してんだよ」
「べ、別にそんな顔…」
「変な勘違いしているみたいだけど
爺さんは生きてるからな」
「えッ、そうなの!?」
思わず出た本音に
壱琉も『やっぱりか』と私の想像を察し
呆れた表情をしている。
私は私でずっと悪い予感ばかりがついてまわるし
聞くに聞けなかったからホッとした。
「それよりも。
今日はよくアイツ、一緒に病院まで行ったな」
「氷彗の事?」
「普段なら絶対行かないのに。
もしかしたらアンタに惚れたのかもな」
植木の花から今度は花壇の土を弄りながら
悪戯半分にニヤリと不敵に笑う壱琉は意地が悪い。
惚れてるとか
氷彗に限ってそれはないとは思うけど
ただ、親子関係で何かを抱えて悩んでいるようには見える。