性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
たぶん他人が踏み入れちゃいけない領域。
だから私もあえて触れるつもりもない。
そう思っていた矢先の事。
それは自ずと《《向こう》》からやってきた―――――
同じ週の金曜、夜。
相も変わらず帰りの遅い壱琉と
何時に帰宅するのか不明な氷彗の代わりに
私は独り、今日も家を護りながら留守番をしていた。
時間は20時。
男性陣の夕飯の準備も終わり
そろそろお風呂にでも…と思った頃
玄関のインターホンの音がした。
来客なんて珍しい。
それ故に鍵を開けて招き入れて良いものなのか…
『うーん…』と頭を悩ませていると
再びインターホンの音が耳に入ってくる。
ひとまず誰が来たのか確認しようと
玄関の扉に設置されているモニターに目を向けると
そこに立っていたのは・・・
「えっと、、
誰だっけかなぁ」
扉の向こうには眼鏡を掛けたスーツ姿の男性。
ネクタイも黒髪もキッチリ整っていて
年齢は40~50代くらいだろうか。
見た事があるような…ないような。
「あ。もしかして…?」
顔をほとんど見なかったからピンとこなかったけど
たぶんこの人って、氷彗のお父さん?
”そんな気”だけでの曖昧な勘で鍵のロックを解除し
扉を開けて来客を迎え入れると
私の姿を見るなり『え…』と目を丸くし驚いた反応をした。