性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
彼の父親が来た事は
概ね、私の口から壱琉には説明はしていた。
事情を知っているせいか
聞いた所でそれほど驚きはしなかったけど
こうなる予感していたらしく
壱琉も頭を悩ませていた―――
「最近ようやく少しずつ顔を上げるようになってきたのに、またダメか」
数日後の夕飯時
珍しく私と壱琉がテーブルを囲む中
氷彗の分も用意したけど降りてくる気配がなく
私以上に壱琉は困っていた。
「せっかく少しずつ話をしてくれるようになったのにね…振り出しに戻っちゃったんだ」
「振り出しっつーより”悪化”だな。
アイツの闇堕ちは深いから」
悪化…
やっぱり原因は、お父さん?
「詩菜はアイツ本人から何か聞いてんのか?」
「ううん、聞いてない…し、聞くつもりもないよ。
言いたくないだろうからね」
「…そうか。
まぁそれがいいだろうな。
アイツは絶対話さないから聞いても無駄だ」
『これは氷彗自身の問題だから』と
それ以上の詮索はせず夕飯を食べ進めている。
私も関与するつもりはないけれど
このままご飯も食べないってなったら
それはさすがに体力が心配。
『大丈夫かな…』と不安が頭の片隅にありながら
私も食事を続けていると。
ふと、壱琉の独り言が耳に入った。
「アイツの父さん
昔はあんなんじゃなかったのに…」