性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
「え…?」
「なんでもねーよ。
ごちそーさん」
言葉が意味深すぎて
同時に、とても寂しそうな顔をするから思わず聞き返したけれど
彼はそれ以上は答えず、席を立ち食器を片付けてしまったから聞けずじまい。
確か2人は幼馴染だって言ってたから
壱琉は昔から氷彗のお父さんの事も知ってるはず。
だからあのセリフ…
同じ方向を向いていたはずのお互いの気持ちが
時が経つにつれて少しずつ離れていって
絡まった糸も解けなくなり
収拾つかなくなるほど拗れたまま
現状の”決別”みたいになっているのかもしれない。
けれど仮にそうだとしても
お父さんのあんな言葉…
あまりに酷すぎる。
あれだと氷彗が闇堕ちするのも無理もない。
「アンタがそんな顔してどうすんだよ」
頭上から聞こえてきた壱琉の声に『へ?』と
間抜けな返事をしながら顔を上げた。
自分でも無意識に俯いていたみたいで
食器を洗い終えた壱琉が戻ってきた事に気が付かなかった。
「氷彗に同情とかすんなよな。
そんなのウザイだけだ」
目を細め
上から見下しながら言い放ち、立ち去っていく壱琉。
こ、怖ッ…
なんで怒ってんのさ。
まだ何も言ってないじゃん…。
「とりあえず食事を持っていこ」
炊飯器に残った氷彗の分の白米を
鮭とツナマヨで2種類作って持って行く事に。