性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

いや、待てよ?
お酒が飲みたいって言うかもしれない。

・・・言うか?

トレーにオニギリと彼の分のオカズ
それとビールもつけて2階に運んだ。

なんか受験勉強中の息子に
夜食を届ける母親みたいだけど。
まぁそこはツッコまずに。


「氷彗ー
 いるー?」

“コンコン”とドアをノックしてみたものの・・・返事は返って来ない。

やっぱダメか。

「夕飯、置いておくから食べてねー」

もう一度声を掛けてから
彼の部屋の横に設置されているコンソールテーブルにトレーごと置いてみた。

すると
“ガチャ”とドアの開く音がーーーー

「あ、氷彗!
 夕飯…なん、だけど…」

言い掛けてストップ。
内開きに開いたドアの隙間から
ジロリと睨みを利かせる氷彗に
ゴクリと息を飲み込み、顔が引きつる。

ヤバい
逆鱗に触れたっぽい。
これはかなりキレてるよ。

「ご、ごめん
 余計な事した!
 すぐ戻りますッ」

「なんで逃げんの」

八つ当たりを受ける前に撤退しようと
くるりとUターンすると
思いがけなく背後から聞こえた声に制止させられてしまった。

無視するわけにもいかず恐る恐る振り返ると
氷彗はドアを開け顔を出し
私が持ってきたトレーに目を移し、ポツリ。

「ご飯?…と、ビール…
 どういう組み合わせなのさ」

細目に険悪な表情を浮かべている。
< 77 / 161 >

この作品をシェア

pagetop