性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
手で握りしめクシャクシャになっていた通知書を両手で広げ、『これです』と男に見えるように目の前で提示。
「へぇ。アンタがあのオンボロアパートの住人か」
表情1つ変えず頬杖も崩す事なく
興味なさそうに『それで?』なんて聞いてくる。
「すぐに立ち退くなんて無理です。
諸事情でお金もないし…
何か保障はしてくれるんですか?」
「大家に直接交渉とは良い度胸だな。
その紙にも書いてあるだろ。
“家賃6ヶ月分は支払う”って。
それ以外はない」
男が通知書の一文を指差して説明。
確かに保証の文言があるのは私も知っている。
しかしそれだけだと困ると言いたかった。
「引っ越し代とか別のアパートの初期費用とか家賃とか…とにかく諸々に出費が多いんです。それだけだと足りない!」
「はぁ?図々しい女だな」
男に更に強詰め寄って引き下がろうとしない私に対し、先程まで興味なさそうに鼻で笑って相手にしていなかったのが一変。
眉間に皺を寄せ『チッ』とまた舌打ちし
明らか機嫌が悪くなっていく。
「アンタのその《《諸事情》》なんて知るか。俺には関係ねーんだよ。んなワガママに付き合うお人好しだと思うな」
「それはッ
そうなんですけど…」
仕事がなくなるこの状況下で
住む場所まで失うのは困る。