性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
薄暗い電球に照らされ
風を感じながら私達は2人きり。
不思議な感覚―――
「この前は恥ずかしいところを見せたね」
「え…」
一口二口食べたところで
手を止め、氷彗は静かに話始めた。
「あんなところを知られて
本当は情けなくて顔が合わせられなかったんだ…
俺自身もかなり動揺もあったし
戸惑いと怒りで感情剥き出しに怒鳴ってしまったから…」
「そう、だったんだ…」
眉をひそめ、困った表情をする氷彗からは
気まずさが伝わってくる。
それで子供みたいに閉じこもる手段に出たんだ。
「見てわかったと思うけど
俺は父親と仲が悪くてね。
あの人は世間体と自分の地位にしか興味がないみたいで
そこに俺は邪魔なんだ」
「そんな事…」
「子供の頃は俺も医者を目指していて…
それが本望だと思っていたよ」
「そうなの…?」
コクンと首を縦に振る氷彗。
そして話は彼の昔話へ―――――
「幼いながらにも父親の仕事が凄いのはわかっていて、高校生になる頃には憧れになっていた。
だから一生懸命勉強もしてきた。
けれど父親は、出世していくにつれて性格が変わっていったんだ。
自分が偉くなる事ばかりで
俺に求めてくるのは”医者の息子として立派に”ってだけ。
だから大学受験を捨てて、親も捨てた」