性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
氷彗の母から当時の2人の様子を教えてもらい
私もまた、昨日本人が話してくれた事を伝え
お互いがどんな思いで今まで来たのか
しばらく私達は父と子の昔話をしていた。
また1つ、彼自身を知った気がする。
良い方向に進むといいんだけど…―――
氷彗母のご厚意により
家の中へとお邪魔させてもらう事に。
「迷路だ…」
庭や外観に圧倒されていたけれど
室内も驚くほど広い。
和テイストなのだろう。
畳の部屋を多く見受けられる。
喧騒とする都会街とは世界が違い
静かで和やか。
本当に旅館みたいで
1泊2日で泊まってみたくなるくらい。
「詩菜さん、こちらへ」
「あ、はいッ」
四方八方キョロキョロしていた私に
氷彗母が案内してくれた先は
奥の1部屋。
襖で閉められているけれど
隙間からは中の様子が見える。
そこで待っていたのは
正座をして睨み合っている氷彗と、お父さんの姿…
「では、ごゆっくり」
「えッ!?」
ニコリと笑顔で去っていく氷彗母。
待て待て待て。
この《《確実》》に険悪な状況の中
私を戦場に置いていきますか。
対処に困ります。
通されてしまった部屋だが…
さすがに中に入れず襖を挟んだ廊下で正座してみる。
何やってんだろ、私。
沈黙が続く2人を
隙間から目を凝らして見ているしか出来ない。