性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

この様子だと最悪な雰囲気かも。
怒鳴りあって余計に悪化しないと良いんだけど…

「お前が自分から帰ってくるとは
 どういう風の吹き回しだ」

父親の発言から
戦いの幕は切って落とされたーーー




「帰ってきたわけじゃない。
 俺は逃げるのをやめて
 父さんと向き合いにきただけ」

「どういう意味だ」

腕を組み
瞬きもせず睨むような目力を氷彗に送り続ける父。

私なら逃げ出す怖さよ。

「父さんの願う期待には応えられなかった。
 俺は医者の道を捨てたから。
 それは申し訳ないと思ってる」

頭を下げる氷彗に
さすがの父も何も言えないようで
先日までの啖呵切った剣幕が見えない。

「だけど俺ももう子供じゃない。
 今は壱琉の会社で働かせてもらっていて
 大きなプロジェクトも任されてる」

そ、そうなの氷彗!?
なんの仕事をしているんだろうと思ったけれど
壱琉と同じ会社に勤めていたなんて…私も初耳。

「家を出た当時の俺は
 確かにまだまだ子供で、未熟で
 ”自分1人で生きていける”とか
 根拠もない自信で勝手に飛び出した。
 それでも環境と一緒に少しずつだけど
 考え方が変わってきたんだ。
 俺は父さんと縁を切りたいわけじゃない。
 このままで良いなんて思ってない」
                      力強い言葉で     
一生懸命、自分の思いを伝える彼は
なんか少し、カッコよく見えた。        
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