性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

どんな反論が来るのか
私と、たぶん氷彗も固唾を飲んで待っていた。

けれど彼の父は
しばらく目を閉じて黙って聞いているのみ。

沈黙の時間が過ぎていき
そしてようやく、口を開いた。

「言い訳にしては弱いな」

とーーー

「そもそも理由になってない。
 何に対しての懺悔かわからない」

あまりに厳しい言葉に
私は思わず『そんな…』と声に出してしまい
ハッとし口を押さえたけど、遅かった。

隙間から見える2人の視線は
確実に私に向けらている。

あちゃぁ…
やらかした…

「誰だ」

低めの、ずっしり来る声のトーンに
緊張で背筋が伸びる。

「はいぃッ!」

裏返る声、額に滲む冷や汗。
まるで会社面接のような面持ちで襖を開けていた。

氷彗の父から送られてくる非常に痛い視線。
えぇ、わかっていますとも。
場違いだって事くらい。

「あなたは確か先日の…?」

どう言い訳して逃げ出そうか考えていた私だったけど、氷彗父から話しかけられてしまえば、そうもいかない。

「蓮見…詩菜、と言います。
 ちょっと諸事情がありまして
 今は氷彗さんと壱琉さんと一緒に住まわせてもらっています」

改めて簡単に自己紹介するが
父は難しい顔をしたまま不信感を抱いている様子。

すると氷彗が釈明してくれた。

「俺がお願いした。
 父さんと2人だと
 またモメそうだったからね」

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