性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
「まったく…
氷彗もキミも、揃って変な人だ」
「…へ?」
想像とは全然違った柔らかい声が降ってくるから
顔を上げ、間の抜けた返事をしてしまった。
声だけじゃない。
表情も、さっきより全然穏やか。
尖った感じも厳つい雰囲気もない。
これはもしかして…もしかする!?
「氷彗。
お前を連れ戻しはしない。
帰って来いとも言わない。
だが…たまには顔を出せ」
「父さん…」
強がりか、後に引けなくなったのか
父は氷彗の目を見る事なく発し
部屋をあとにしてしまったが
私にはプラスの方向に向かっていると
少しだけ親子関係の修復が出来たように見えた。
『よっしゃ!』と心の中でガッツポーズをしてみるが、あまりに嬉しくて顔に出ていたせいか
氷彗はそれに気が付いたみたい。
「嬉しそうだね」
そんなドン引きしているようにも見える目で
見つめないで。
「ご、ごめん…」
咄嗟に謝ってしまったじゃないか。
でも確かに
当事者である氷彗にとっては嬉しい話じゃないのかもしれない。
溝が埋まったという決定的なモノが何1つ得られなかったのだから。
振り出しに戻ってしまったかなと
少々後残りがあった私に、彼は照れたような表情で言う。
「ありがとう…詩菜。
父に言葉を掛けてくれて…」
その言葉が嬉しくて
私も笑顔で返したんだ。
「帰ろっか」
って―――