性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
確かにどんな言葉を掛けるべきか
下手にいろいろ言いたくないなと思って
結果的には黙って聞いていただけになったけども…
「こっちの都合に付き合わせてしまったね。
だけど詩菜は黙って受け入れてくれた。
だから俺の予想は間違ってなかったよ」
フッと小さく笑みを見せる氷彗の表情からは
昨日までの殺伐とした雰囲気はなく
どこかホッとしているような…肩の荷が降りたように思えた。
「良かったのなら…私も良かった、です」
何かプラスになるキッカケになったのであれば
私もそれで良いと思う。
「俺が今まで出会ってきた女性で
詩菜みたいに父親に頭を下げる人はいなかったね。
すごい度胸だよ」
「ッ!?」
そう言われて
飲んでいたビールを吹き出しそうになってしまい
慌ててティッシュペーパーで阻止。
あ、危なかった。
私は余程の事をしたのだろうと考えると、改めて恥ずかしい
そもそも私だって生まれて初めての経験よ。
結婚の挨拶じゃあるまいし
人様の親に頭を下げるなんて正直どうかとは思うわけで・・・
って、氷彗の出会った女性?
「あのー…
氷彗は今まで、彼女とかいたの?」
失礼は承知で
躊躇い気味に私は本人に訊ねてみた。
すると彼は2本目のビールを開けながら
アッサリと白状。
「当たり前じゃん」