性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
熱さにヤられたのは、夏のせい?
鬱陶しかった梅雨も明け
暦の上では7月となり、まさに夏本番。
私、蓮見詩菜は
この家に引っ越してきてから1ヶ月が経ちました。
暑さに負けず今日も頑張っています。
悩みが1つ出来てしまいましたが―――
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「おはよ、詩菜」
いつも通りに3人分の朝食をテーブルに並べていると
黒いTシャツにワイドパンツを《《こなれた》》感じにカッコよく着こなし、微笑を浮かべながら氷彗がキッチンにやってきた。
「おおおおおはよう…ございます」
思わず数歩後退しながら
明らかに挙動不審の返答になってしまう。
そう。
悩みの原因は、この男…西園寺氷彗。
彼の父親との揉め事に関わり
最後は丸く納まって乾杯をした、あの夜。
ほろ酔い気分で楽しく飲んでいたはずが
突然、氷彗からの抱擁と愛(?)の告白を受けてしまった。
その後、当の本人は
『俺の気持ちを伝えたかっただけだから』とだけ言って、体を離して部屋へと戻っていってしまったけれど…
残されたこっちは、もうずっとドキドキしっぱなし。
表情も最初に比べて優しく穏やかになっているし
そもそも”他人に興味がない”はずじゃなかったの?
困惑と動揺に惑わされている私とは裏腹に
氷彗は何事もなかったように涼しい顔をして席に座る。
さすが動じない男だな。