悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
まるでナタリアの存在そのものを拒絶しているような目つきに、ナタリアは身震いした。

(どうしよう、嫌われてしまったのかも……)

ナタリアは秘密の外出に夢中になり、浮かれていた自分を反省した。

それから初心を忘れ、彼をおざなりにしていたことも。

このままでは外国で暮らす許可を貰うどころか、嫌われてアリスに出会う前に投獄されてしまうかもしれない。

最悪だが、もうすでにあとの祭りである。

「ごめんなさい、お父様……」

震え声で謝っても、リシュタルトの表情が変わることはなかった。

「夢中になるほどここが楽しいのか? いつもここで何をしていた?」

「それは……」

将来獣操師になって北大陸に住むために、イサクから話を聞いていたとは言い出せない。

この調子だと、獣操師になるなど言語道断と一蹴されるに違いない。事態はより悪化してしまう。

唇を引き結ぶナタリアを、リシュタルトは抑圧的な目で見降ろしている。

「言えないか。なら、こいつを殺すしかないな」

突然、リシュタルトがギルの胸倉を掴んだ。

ギルもリシュタルトに負けず長身だが、彼の身体が一瞬浮くほどの勢いだった。

「幼いお前がひとりで計画を練って城を抜け出すことなど不可能だ。どうせこの家庭教師の入れ知恵だろう」
< 123 / 251 >

この作品をシェア

pagetop