悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
違和感を覚え、クライドは起き上がろうとした。

ところが、まるで自分のものではないかのように、身体が言うことをきかない。

急に手足の動かし方が分からなくなってしまったようだ。

「動いてはだめです、クライド様。ひどい熱に一週間ほど浮かされていたのです。熱はまだ下がっていません。どうか安静にされてください」

アモンが、クライドの肩を両手でそっと押さえ、再び寝かしつけようとした。

そのとき、彼の首元に提げられた銀のペンダントトップに、クライドの姿がぼんやり映し出される。

「これは……」

そこにいたのは、やつれた顔の黒髪の人間の少年だった。

クライドは獣人だ。

そのうえ、彼が王室出身であることを証明する神々しい銀の髪を持っている。

そのはずなのに――。

アモンがハッとしたように、自分の銀のペンダントを引きちぎって放り投げた。

それから「見てはなりません……」と声を震わせ、必死にかぶりを振る。

「鏡を持ってきて……」

「ダメです」

「――早く!」
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