悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
寝室は、ピンクを基調とした家具や壁紙で統一されていて、天蓋付きのベッドには、レースで縁取られたふかふかのクッションがどっさり置かれていた。

ドレープを描く高級そうなカーテンにもフリルがふんだんにあしらわれていて、いかにも少女の部屋といった装いだった。

勉強部屋は、落ち着いて勉強ができるようにという配慮か、白の家具を基調としたエレガントな雰囲気だった。

本がたっぷり入る書架に、彫刻の見事な勉強机。燦々と日の降り注ぐバルコニーに通ずる窓辺にはダイニングチェアセットが置かれ、読書やお茶を愉しめるようになっている。

「ナタリア様、御用があるときはこちらの紐を引っ張ってくださいね。たとえ深夜であろうと、私たちがすぐに飛んで参りますので」

ドロテが、壁穴からベッドの枕元に垂らされた紐を指し示しながら言う。

ドロテとアビーは、これからは使用人専用の離れで寝泊まりしないといけないらしい。

つまりナタリアは、毎夜この階にリシュタルトとふたりきりになるというわけだ。

といっても寝室は別なのだが、彼の威圧感のせいで緊張してしまう。

(とにかく、ちょっとだけ気に入られたようでよかった)

荷台に轢かれそうになった際、臆病なところを見せてしまったため嫌われたかもと怯えていたけど、問題なかったらしい。
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