悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
ナタリアの部屋が本宮に移って一週間後。

朝食後、ドロテを連れて部屋に戻ると、部屋を出た際にはなかったはずの大きな箱が三つドドンと置かれていた。

「何かしら?」

すべてにリボンが巻かれていて、それぞれ『1』『2』『3』と番号を記したカードが提げられている。

「ナタリア様、大変です! リシュタルト様からナタリア様への誕生日プレゼントが届きました!」

部屋に待機していたアビーが、興奮気味にまくしたてた。

「誕生日プレゼント?」

ナタリアが首をかしげるのも無理はなかった。

ナタリアは三歳をちょうど半年過ぎたところだった。

誕生日のプレゼントをくれるには、ひどく中途半端な時期である。

「数字が書いてあるでしょう? ナタリア様がその年齢のときのプレゼントという意味のようですよ。お傍にいられなかった三年分のプレゼントを一気にくださったのでしょう。ナタリア様は、本当にリシュタルト様に愛されていますね!」

感極まったように涙を浮かべるアビー。

「ナタリア様をあれほど避けておられたリシュタルト様が、すっかりナタリア様を気に入られたようで、本当に喜ばしいことです。さっそく、開けてみられてはどうでしょう?」

ナタリアは、プレゼントをひとつずつ開けてみた。

『1』の箱には大きな犬のぬいぐるみ、『2』の箱には大量の絵本、『3』の箱には色とりどりのドレスが入れられていた。

「まあ、すてき……!」

ナタリアはヘーゼル色の目をキラキラと輝かせた。

素直に、心からうれしい。

あのリシュタルトがナタリアのことを考えて選んでくれたのだと思うとなおさらだ。

「まあ、ナタリア様。このぬいぐるみ、ふかふかで最高じゃないですか!」

「高価そうなドレスがこんなにもたくさん! さっそくどれか着てみましょうよ!」

ドロテとアビーもナタリアと一緒になってわいわいとはしゃぐ。

三人は、豪華な贈り物を前にきゃぴきゃぴと盛り上がった。
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