悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
「私も怖いの。だから今晩はここにいてあげるわ……ひぃ!」

ひときわ大きなの雷鳴が鳴り響き、ナタリアは毛布に身を隠す。

ドアの向こうにロイがいてくれるのがせめてもの救いだった。

「そこで何をしている?」

すると、誰もいないはずの背後から声がした。

「ひっ」と怖気づきながら毛布から外を覗くと、暗闇に佇むリシュタルトと目が合う。

「おとうさま……?」

「お前が部屋を出る音がしたから来てみたんだ。――雷が怖いのか?」

瞳を潤ませながらこくこくと頷くナタリア。

「ロイが鳴いてたから、ロイも怖いんだろうと思って、ここに来たんです」

「そうか。自分のことで精いっぱいなのに、たいした度胸だ。……一緒に寝るか?」

「え……?」

あのリシュタルトがまさかそんなことを言うとは思いもせず、ナタリアはぽかんとする。

(聞き間違い……?)

狼狽えていると、返事を待たずして、リシュタルトがナタリアをひょいと抱き上げる。

問答無用で強制連行されるようだ。

リシュタルトの身体は、やはり大きくてあたたかい。
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