溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 それから、ペットボトルの水にストローを刺して持ってきてくれたり、水枕の氷を変えてくれたり。

 せっせと看病してくれる姿に申し訳ない思いが湧く反面、その優しさに懲りずに胸はときめきを覚え、夜中に見た電話のシーンは夢だったかのように思えてくる。

「病院はどうする? 今日は日曜だから、明日の朝、体調をみて行くか」
「はい。そうします」
「じゃ、俺はリビングにいる。なにか欲しいものがあったら、スマホで呼んでくれ」

 ベッドのふちに腰掛け、私の頭をそっと撫でていた彼が、そう言って立ち上がる。私はとっさにだるい体を起こし、維心さんの腕を掴んだ。

「どうした?」
「私が眠るまで、ここにいてくれませんか?」

 口をついて出たのは、まるで子どもみたいなワガママ。普段だったら絶対に言えないのに、今日の優しい維心さんに甘えたくなってしまった。

 たとえその優しさが病気の間だけのものだったとしても……今だけは、愛されている錯覚に浸りたい。

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