溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「終わった……」
定時を三十分過ぎてようやく自分の仕事にひと区切りつくと、すかさずバッグからスマホを取り出す。
維心さんからのメッセージが一件。送られた時間は午後二時頃で、飛行機が羽田に到着する時刻が記してあった。
彼は一度会社に寄ると言っていたので、羽田からここまでの時間を計算する。
それから自分の腕時計に目を走らせ、もしかしてそろそろかな?とちょうど思っていた時だった。
「あ、部長、お帰りなさい」
「お疲れ様です」
オフィスの入り口付近から社員たちのそんな声がして、パッと顔を向ける。
そこには土曜日の朝ぶりに会う維心さんがいて、否応なく胸が高鳴った。
維心さんは自分が不在の間の営業部について社員たちに尋ねつつ、お土産の紙袋を彼らに渡している。
なにげなくその姿を見ていると、維心さんが私の姿を見つけてふっと表情を緩める。
それから口の動きだけで、〝ただいま〟と言った。私も微笑みを返し、心の中で〝おかえりなさい〟と伝える。