溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
朝……か。お腹空いた。私たち、ご飯も食べずにあんな……。
昨夜の自分たちを回想すると、急に恥ずかしくなってぶんぶん首を振る。
とりあえず、シャワーを浴びよう。それから昨日着ていた服を洗濯だ。
ベッドの周囲に散らばった服を拾い集めていると、パンツやシャツはともかく、高級そうな維心さんのスーツの上下まで無造作に床に落ちていたので私は慌てた。
「大変、皺になっちゃう」
小さく呟いて、ジャケットを拾い上げる。見たところ皺はないようだけれど。あちこち確認していたら、その拍子にポケットからなにかが落ちる。
私はなにも考えずにそれを拾おうとして、途中で手が止まった。
「これ……」
床に落ちた、小さな正方形のパッケージ。どこをどう見ても、避妊具だった。
しかし、私との行為には必要ないし、実際使ったこともない。それが、出張帰りの彼のスーツのポケットから出てきた。……どういうこと?
私の脳は無意識に、美久さんの名前を思い浮かべていた。
ねえ維心さん、これ、なんのために持っていたんですか?
彼を疑う気持ちは限りなく白に近いグレーであったはずなのに。その色はじわじわと濃さを増し、私の心を覆っていった。