溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
ニコッと微笑んだ内心では、出張が増えるということは、また美久さんと会うのだろうかと勘繰っている。
あの日見つけた避妊具は私が持っているから、数が足りないと訝しく思ったりするだろうか。
いや……維心さんの体はほとんど毎回のように一度じゃ鎮まらないから、数なんていちいち把握していられないか。
そんな私の心の内を知る由もない彼は、カチャンと箸を置いて、言う。
「そんなにサラッと平気だと言われるのも悲しいな。きみの体にまだ俺を教え込むのが足りていないようだ」
熱のこもった眼差しにどきりとしつつも、今夜は彼の求めに応じるか、私は迷っていた。
維心さんと結婚してから、なにげなく始めた生理日管理アプリによると、今日はいわゆる危険日というやつなのだ。
今私が妊娠したら、いったい夫婦関係はどうなるのか。こんな不安定な状態で赤ちゃんを授かるのは、無責任な気がする。
「あの、ごめんなさい。今日はちょっと……そういう気分ではなくて」
ハッキリとは断れず、言葉を濁して伝える。遠慮がちに維心さんの瞳を覗くと、彼は静かに「そうか」と頷いて立ち上がり、キッチンに食器を片づける。