溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
あっさり受け入れてもらえてホッとしたけれど、どこかいつもの維心さんと様子が違う気がする。
その違和感の正体がわからないまま夜は平穏に過ぎ、自室で眠ろうとしていたら部屋がノックされた。ドアを開けると維心さんがいて、静かなトーンで聞かれた。
「少し話せるか?」
「はい……どうぞ」
どうしたんだろう。元気がないみたい。私が夫婦生活を拒んだから?
疑問を抱きつつも維心さんを部屋に招き入れ、ベッドに並んで座る。維心さんは深刻な顔で壁の一点を見つめ、口を開く。
「きみが最近ぼーっとしている理由はなんだ?」
「えっ?」
「俺といても、俺以外のことを考えているように見える」
「そんなこと……!」
最近、確かにぼーっとしているのは認める。だけど、考えているのはいつも維心さんのことだ。私の悩みの中心には、いつだってあなたがいる。
「違うなら、教えてほしいことがある。悠里。きみは、どうして俺と結婚してくれた?」
そう聞きながらも、維心さんは、まだ私の方を見ない。
その横顔はどこか投げやりで、危うい雰囲気。今、正直に〝好きだから〟と告げたらどうなるのか怖くて、私はすぐに答えられず黙り込む。