溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

「きみの気持ちはわかっているつもりだった。しかし、もしかしたら俺の思い込みかもしれないとも思うようになった。女性は男よりよっぽど、本心を隠すのがうまい。そう気づかされる出来事が、最近あってな」 
「本心を隠すのがうまいって……誰のことですか?」

 私自身もずっと本心は隠して彼と生活してきたけれど、彼は私でない人を思い浮かべて話している気がする。

 最近の彼に影響を与えそうな女性といえば、あの人しか……。

「古い知り合いというところか。しかし、悪いが詳しくは話せない」

 詳しく話せない。やっぱり、美久さんのことなんだ。なんで大事なところだけ都合よくぼかすの? 

 そもそも、美久さんの話をどうして私とのことに置き換えて話すの?

 美久さんの心が見えなくて、やきもきして、一番手近にいる妻の意見を聞いてみようとでも思いついた?

 誰もそうとは言っていないのに、私の感情は暴走した。維心さんの隠し事が、すべて博多の一夜と美久さんに繋がっている気がして、どんどん意地になっていく。

「維心さんがちゃんと話してくれないなら、私だって、本心なんか教えられません」

< 169 / 240 >

この作品をシェア

pagetop