溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 前を向いたまま、冷たい声で突き放すように告げる。目の端で、維心さんが傷ついた顔をしたのがわかった。

 罪悪感がちくちくと胸を刺すけれど、今さら引っ込みがつかない。

「そうか。……その態度で逆に、きみの本心がわかったよ」

 ぼそりと、維心さんが低い声で呟いた次の瞬間、私は肩を押されて、ベッドに倒された。

 突然のことに動揺し、思わず維心さんを見上げる。すると押し倒されているのはこちらなのに、彼の方こそ弱り切ったような、儚げな目で私を見つめていた。

「子どもが欲しくて俺との結婚を受け入れたはいいが……最近、他に好きな相手ができた。だから、俺を拒んだ。そうだろ?」

 維心さん、なにを言って――。

「違います……私、他に好きな人、なんて」

 震える声で否定して見るものの、儚げな色だった瞳はみるみる暗く染まっていき、ぞくりとしたものが背筋を走った。

「相手は誰だ? 元木? 俺の知らない男? 誰だとしてもきみを渡す気は毛頭ない。きみを孕ませるのは、この俺だ」

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