溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

『い、今俺、お客さんとの商談が終わって、ホテルのラウンジから帰るところなんだけど……そしたら、女性を連れた部長とすれ違って』
「えっ?」

 維心さんが女性と? 弟さんと会うはずじゃなかったの?

『さっきまで俺のいたラウンジでコーヒーかなにか飲んでるけど、なんか深刻な雰囲気なんだ。とにかく早坂もこっち来れないか? 今住所送るから……』

 弟さんと会うと言っていたはずの維心さんが、女性とホテルのラウンジにいる。

 いったいどうして? なにが起こっているの?

〝浮気〟のふた文字がまた頭の中をぐるぐる回り始めたけれど、私はぶんぶん首を振ってそれを追い払う。

 強くなるって決めたのだ。絶対に信じない。この目で見るまでは。

 私はバッグを掴んで足早に会社を出ると、タクシーを拾って元木くんに教えられたホテルへ急いだ。


「早坂、こっち……!」

 ホテルに入ると、元木くんがすぐに私を見つけて駆け寄ってくる。目的のラウンジはエントランスと同じ一階。

 ふわふわとした絨毯の上にソファやテーブルが並んだ、開放的で高級感のある空間だ。

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