溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
ずっとそばに――side維心
ホテルの客室に移動した俺と悠里は、窓際に置かれたソファに並んで座る。
俺はそこで彼女に、今日美久に会うことになった理由とその経緯を説明した。
本当は玄心とだけ会って話す予定だったのだが、玄心から遅刻するとメールを受け取った直後、待ち合わせ場所のラウンジに美久が現れ、〝あの夜〟のことを改めて謝罪されていたのだと。
始まりは、美久からの一本の電話だった。
両親との会食の後、深夜三時ごろ。悠里とベッドを別々にしても眠れそうにないので、リビングで時間を潰していた時だった。
こんな時間に電話してくるなんて、弟の玄心になにかあったのでは。俺はすぐにスマホを手に取り、応答した。
『もしもし、美久か? どうした』
《ごめんなさい、こんな時間に。今日は仕事が長引いちゃって。でも起きてたんだ、維心くん。別に、大した用じゃないんだけどさ》
どうやら特に緊急の用ではないらしい。先日父が怪我をしたばかりだったので、また悪いニュースでは勘繰ってしまったが、杞憂だったようだ。