溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
電話で話した悠里は、顔を合わせている時よりなぜか積極的で、ぽんぽんと甘い言葉を吐いた。
なんでこんなにかわいいのだろう俺の妻は。今すぐ東京へ飛んでいきたい。
そんな衝動にかられるものの現実には叶わないので、甘い会話もそこそこに電話を切る。そして、家に帰ったらたくさん悠里を甘やかしてやろうと心に決めながら、美久のもとへ戻った。
『すまない、待たせた』
そう言って席に腰を下ろすと、美久は「ぜーんぜん、待ってないよん」と、おかしなテンションで俺に微笑みかけた。
怪訝に思って彼女の前方のカウンターを見ると、冷酒の徳利が二本も増えている。思わず持ち上げてみたら、両方とも空だった。
『この短い間でこんなに飲んだのか?』
咎めるような俺の言葉に、美久は拗ねたように口をすぼめる。
『維心くんのせいだもん』
『人のせいにするな。そもそも、俺は今ここにいなかっただろう』
『……だから、そのせいだってば。奥さんからの電話くらいでにやにやしちゃってさ』