溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「玄心さん、なんて?」
「ああ、美久と一からやり直すと決めたらしい。それと……俺たちには、子作り頑張れって」
どうする?と尋ねるように、わざと目を細めて悠里を見つめる。
悠里の頬がじわじわ赤く染まり、いじらしい仕草できゅっと唇を噛む。やがて決心したように口を開き、大きく息を吸ってから彼女は言った。
「もう、その必要はありません」
「……ん? どういう意味だ?」
予想外の返事である。必要はないって、子作りの?
俺は別に子作りだけが目的じゃなく、きみとの愛を確かめ合いたいのだが、それも必要ないと言っているのか? いや、さっき俺からの愛の言葉が欲しくて泣きじゃくった彼女だ。言動が矛盾している。
呆然としつつも、胸の内で盛大な独り言を繰り広げていた俺に、悠里は告げる。
「維心さん。私、妊娠しました」
ニンシン……って、妊娠、だよな。えっ? 妊娠? 俺の子を?
突然、頭上からきらきらと祝福の光が降り注ぐような錯覚にとらわれた。
光と一緒に空から降りてきた天使が、ファンファーレを鳴らす空耳まで聞こえる。